過去に書いた記事(アニメ分野に高度な専門性を持つ外国人とは???)の続編です。

法務省は、9月末に「クールジャパン」に関わる分野において就労しようとする留学生等に係る 在留資格の明確化等について 」という許可事例を発表しました。

この発表を見る限り、2月ごろにニュースになった記事とはかなり違って、今までとほぼ変わらないなという印象ですが、「食」の分野、特に日本食の分野については緩和されたように感じます。

ニュースとは違い、今回の明確化はアニメ分野等で新しい基準が出来た!などではなく、今までグレーゾーンだった「研修期間」についてどう扱うかというものを明確化したものだと感じます。それともこれ以降も緩和は続くのか。

具体的な許可事例

 <アニメーション分野>

(1) 本邦の専門学校においてマンガ・アニメーション科を卒業し,専門士 の称号を付与された外国人が,コンピュータ関連サービスを業務とする 会社においてキャラクターデザイン等のゲーム開発業務に従事するもの。

(2) 本邦の専門学校においてマンガ・アニメーション科を卒業し,専門士 の称号を付与された外国人が,アニメ制作会社において,絵コンテ等の 構成や原画の作成といった主体的な創作活動に従事するもの。

(3) 本邦の専門学校においてマンガ・アニメーション科を卒業し,専門士 の称号を付与された外国人が,アニメ制作会社において,入社当初の6 月程度背景の色付け等の指導を受けながら行いつつ,その後は絵コンテ 等の構成や原画の作成といった主体的な創作活動に従事するもの。

<ファッション・デザイン分野>

(4) 本邦の専門学校においてデザイン科を卒業し,専門士の称号を付与さ れた外国人が,デザイン事務所においてデザイナーとして創作業務に従 事するもの。

(5) 大学の工学部を卒業した外国人が,自動車メーカーにおいてカーデザ イナーとして自動車デザインに係る業務に従事するもの。

(6) 本邦の専門学校においてデザイン科を卒業し,専門士の称号を付与さ れた外国人が,服飾業を営む会社においてファッションコーディネータ ーとして商品の企画販促や商品ディスプレイの考案等に従事するもの。

(7) 本邦の専門学校においてデザイン科を卒業し,専門士の称号を付与さ れた外国人が,服飾業を営む会社の海外広報業務を行う人材として採用 された後,国内の複数の実店舗で3か月間販売・接客に係る実地研修を 行い,その後本社で海外広報業務に従事するもの。

(8) 本邦の専門学校においてデザイン科を卒業し,専門士の称号を付与さ れた外国人が,服飾業を営む会社において,パタンナーとして,裁断・ 縫製等の制作過程を一部伴う創作活動に従事するもの。

<美容分野>

(9) 本邦の専門学校において美容に関する専門課程を卒業し,専門士の称 号を付与された外国人が,海外展開を予定する化粧品会社における海外 進出準備のための企画・マネジメント業務に従事するもの。

(10) 本邦の専門学校において美容に関する専門課程を卒業し,専門士の 称号を付与された外国人が,ヘアーウィッグやヘアーエクステンション 等の商品開発及び営業販売の業務に従事するもの。

<食分野>

(11) 本邦の専門学校において栄養管理学等に係る課程を卒業し,専門士 の称号を取得した外国人が,食品会社の研究開発業務に従事するもの。

(12) 本邦の専門学校において経営学に係る学科を卒業し,専門士の称号 を付与された外国人が,飲食店チェーンの海外展開業務を行う人材とし て採用された後,本社における2か月の座学を中心とした研修及び国内 の実店舗での3か月の販売・接客に係る実地研修を行い,その後本社で 海外展開業務に従事するもの。

(13) 本邦の調理師養成施設において調理師免許の取得資格を得た外国人 が,農林水産省が実施する「日本料理海外普及人材育成事業」の対象と なって,5年間調理に関する技能を要する日本料理の調理に係る業務に 従事するもの。

(14) フランス国籍を有する者がドイツにおいてイタリア料理の調理師と して10年間活動した後,我が国においてイタリア料理の調理に係る業 務に従事するもの。

不許可事例

<アニメーション分野>

(1) 本邦の専門学校においてマンガ・アニメーション科を卒業し,専門士の称号を付与された外国人が,アニメ制作会社において,主体的な創作 活動を伴わない背景画の色付け作業等の補助業務にのみ従事するもの。

<ファッション・デザイン分野>

(2) 本邦の専門学校においてデザイン科を卒業し,専門士の称号を付与さ れた外国人が,服飾業を営む会社において,主体的な創作活動を伴わな い裁断・縫製等の制作過程に従事するもの。

(3) 本邦の専門学校においてデザイン科を卒業し,専門士の称号を付与さ れた外国人が,服飾業を営む会社の店舗において専ら接客・販売業務に 従事するもの。

(4) 本邦の専門学校において主に経理を学んで卒業し,専門士の称号を付 与された外国人が,衣料品販売店において専ら販売業務に従事するもの。

<美容分野>

(5) 本邦の専門学校において美容学科を卒業し,専門士の称号を付与され た外国人が,美容師やネイリストとして業務に従事するもの。

(6) 本邦の専門学校において美容学科を卒業し,専門士の称号を付与され た外国人が,海外展開を予定する化粧品会社に雇用され,同社の海外進 出準備のための企画・マネジメント業務を行うため1年間の座学及び実 地研修を行うとして申請があったが,実際には,同社で同じ業務に就く 日本人は4か月で実地研修が終わるのに対し,当該外国人については店 舗を替えながら実地研修をするという名目で1年間に渡って販売・接客 業務をさせる計画であったことが,審査の過程で明らかになったもの。

<食分野>

(7) 本邦の専門学校において経営学に係る学科を卒業し,専門士の称号を 付与された外国人が,飲食店チェーンにおいて3年間の滞在予定で海外 展開業務を行うとして申請があったが,実際には,入社後2年間は実地 研修の名目で店舗での調理・接客業務に従事させる計画であったことが 審査の過程で明らかになったもの。

 

という感じです。

不許可事例は過去に実際に申請されたものだと思われますが、なぜこんな申請するのか… これで審査通ると思ったのかな?

今後もニュースと事実の差に注意を払っていきたいところです。