優遇される金融人材の高度人材ビザ取得の実務

昨年、政府が海外の金融人材を呼び込むため、外国人のファンドマネジャーや経営者らを対象に様々な優遇措置を拡大しました。しかし、実務では報道や省庁発表内容から期待する効果と一致しないことも多く、実際に手続きをしてみると期待外れの対応になる事も多くあります。今回は、金融人材優遇のうちのひとつである高度人材ビザ(在留資格:高度専門職)の実務についてお伝えいたします。

 

〇短期滞在ビザ(商用ビザ)からの変更

金融人材は、通常では認められていない短期滞在ビザ(90日、30日など)から直接高度人材のビザへ変更可能とされており、そのとおりに変更可能となっております。

在留資格認定証明書交付申請(海外から呼び寄せる手続き)は早くても審査に1か月程度かかる事が多く、その後の本国手続き併せて入国まで2か月程度は見据えておかなければならないところ、証明書が必要なく、日本へ入国したままビザの変更が出来る為、大変喜ばれている印象です。

 

〇審査の優先処理(10日以内を目処)の対象

申請後の審査期間について、優先処理を行い、10日以内を目処に結果を出すと公表されております。しかし、管轄の出入国在留管理局にもよりますが、この意味は10営業日(2週間程度)と考えた方が良いでしょう。

スムーズにいって10営業日、追加書類等があって3週間から1か月というスケジュール感です。

 

〇優遇対象となる業務について

金融人材といっても実際に対象となる業務に従事していなければ優遇措置は受ける事が出来ません。

対象は、

  • 第二種金融商品取引業(金融商品取引法第28条第2項)
  • 投資助言・代理業(金融商品取引法第28条第3項)
  • 投資運用業(金融商品取引法第28条第4項)

上記3つの業務に従事している方となります。

第一種金融商品取引業は含まれておりません。

上記3つの業務のいずれかに従事する予定であることを会社からの活動内容説明書により説明する事が必要となり、それがない場合には対象となりません。

 

このように、実際の実務においてはより細かい規定があります。

特に経営者や役員等の方はこの高度人材を希望されることが多いので、スケジュール調整も含めてご準備をされることをおすすめします。