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「忘れる」という人間のシステムは生きていくうえで必要不可欠です。深い悲しみも、時間と共に癒え、忘れていく。だから前を向いて生きていける。しかし、重大なこともあっというまに忘れてもらっては困ります。

「法を犯した」事実を忘れる?

私たちの仕事に「仮放免申請」というものがあります。これはいわゆる保釈のようなもので、不法滞在であった外国人の方でも、一定の事情によっては日本のお家に帰れるよというシステム。もちろん、みんながみんな仮放免許可を得られるわけではなく、許可される人は限られます。

ただ、忘れてはいけないのが、その対象者は法を犯してしまったのだということ。まず最初にそれがあったうえで、でもいろんな事情を考えて・・・というシステムなのですが、捕まっている方にかぎってそのことを理解しない方が多いように感じます。

そのため、「早くここから出してよ!!!」「なんでまだ出られないの!!」「ちゃんとやってないんじゃないの!早く!」と捕まっている方から責められることが多く、仮放免されることが当然のことと思っているよう。

焦る気持ちはわかりますが、「法を犯してしまった」という事実をはどこへ行ったのでしょうか・・・。忘れちゃったのかな?(´・ω・`)

反省を要求する日本人、反省しない外国人

私達は法を犯した事実を忘れず、反省してほしいと願っていますし、当局もそれを要求します。でも、そもそもの考え方が違うのであれば、その要求は悲しい結果となってしまいます。

「自分のしたことをちゃんと反省するんだよ」⇄「何言ってんのこの人?友達はここから出たよ!」

このようなやりとりが続くのです。不毛な戦いアゲインです。

以前、外国人の討論番組で密入国の討論が行われ、とあるアジアの国の方が「密入国は違法だけど悪いことじゃない。日本の法律がおかしいから変えるべきだ!」とおっしゃってました。彼らにとって、不法滞在や不法入国が悪いことという認識は薄いのかもしれません。

だとすると、罪を忘れたのではなく、罪だと思っていないのではないでしょうか。もしくは、悪いことだけど、そこまで悪いことじゃない・・・とか。なので、相手に深く反省することを要求してはいけないのではないかと思います。彼らの考え方を受け止めたうえで私たちは自分たちの仕事をやるしかないですね。

自分の中のものさしを捨てなくては。